結論
Geminiができること・できないことが明らかになりました。
やったこと
Geminiの音楽生成に対して以下のプロンプトを与え、意図した要素が生成された曲に反映されているかを検証しました。
【要素】
・BPM(テンポ)
・コード進行
・小節数とループの指示
・拍子
・メジャー/マイナー
・不協和音
・音楽ジャンル
・楽器指定
【環境】2026年7月 Gemini Flash-Lite(だと思う、音楽生成モデルは不明)
【方法】Geminiに下表のプロンプトを与えて、生成された曲が指示通りになっているのかを評価しました。
反映度(指示を守っているか):○△×の3段階評価。
再現性:N=3試行結果のうち、○が3回なら○、2回なら△、1回と0回は×の3段階評価
前の会話の影響を排除するため、各試行は新規チャットで実施しました。

検証結果

音楽生成の適性
・BPM ★★★★★
・音楽ジャンル ★★★★★
・ボーカルの性別 ★★★★★
・歌詞 ★★★★★
・楽器の指定 ★★★★☆
・調性 ★★★☆☆
・曲の構成 ★★☆☆☆
・コード進行 ★☆☆☆☆
検証の詳細
Geminiで音楽生成を行う方法
①入力ボックスの左の「+」をクリック
②「音楽を作成」をクリック
③音楽タグが追加されたことを確認して、プロンプトを入力


こんな感じで曲ができます。
各試行結果(一部抜粋)
①”BPM=60の曲を作ってください”
Geminiやるやんけ。
*BPMの確認にはオンラインメトロノーム(https://www.musicca.com/jp/metronome)を使わせていただきました。
②”Ⅰ⇒Ⅳ⇒Ⅴのコード進行の曲を作ってください”
……これ、Ⅰ⇒Ⅳ⇒Ⅴか??
(in D)
GABmF#m (Ⅳ⇒Ⅴ⇒ⅵ⇒ⅲ)
GDBmA (Ⅳ⇒Ⅰ⇒ⅵ⇒Ⅴ)
GABmD (Ⅳ⇒Ⅴ⇒ⅵ⇒Ⅰ)
GAG7 (Ⅳ⇒Ⅴ⇒Ⅳ7)
見ての通り、Ⅰ⇒Ⅳ⇒Ⅴの進行ではございません。
しかし、よく見てみると、
GABmF#m (Ⅳ⇒Ⅴ⇒ⅵ⇒ⅲ)
GDBmA (Ⅳ⇒Ⅰ⇒ⅵ⇒Ⅴ)
GABmD (Ⅳ⇒Ⅴ⇒ⅵ⇒Ⅰ)
GAG7 (Ⅳ⇒Ⅴ⇒Ⅳ7)
ここだけⅠ⇒Ⅳ⇒Ⅴの進行になっていた。
私はこれを「指示を守った」とは認めません(#^ω^)
③”3拍子の曲を作ってください”
上が失敗パターン(どう聞いても4拍子である)、下が成功パターンです。プロンプトが全く同じでも、試行回数によって結果が変わることがあるらしい。
④”マイナースケールの曲を作ってください”
これ、マイナースケールになるのか?
前半はE♭majorに聞こえるが、最後にC minorになってるので、う~~~~んと悩んだ結果、
評価は△とさせていただきました。
AIはメジャーとマイナーを最後の音で決めているのだろうか?
⑤”Aメロ⇒Bメロ⇒サビの順番で構成される曲を作ってください”
明日はもっと~火薬~~♪
これは令和で大流行の出サビだと思います。
AメロとBメロはどこ行った。
⑥”最初からサビで始まる曲を作ってください”
上は×(サビ始まりではない)、下は○(サビ始まり)と判定しました。
この検証やりながら感じたのは、「サビの定義ってなんや??」ということ。認知と言語の曖昧さが出てしまっている。
でも上の曲ってAメロっぽいな、下の曲はサビぽいなって感じたんですよね。この差ってなんなんだろ。
⑦”クラシックの曲を作ってください”
歌付き!?
実はクラシックだけ、3回試行やって1度も日本語の歌詞がない(1個は歌無し)。
確かにオペラとかってイタリア語?多いすもんね。クラシックの歌の学習データに日本語がないのかもね。
⑧”ボーカルが音痴な曲を作ってください”
この項目は完全に好奇心でやってみたやつです。
AIが音程をわざと外す音楽って作れるのかな? っていう実験。
この曲に限り、一瞬だけ音程から外れるフレーズがあります(13秒あたり~)。
ほんとはもっと下手な歌が聞きたかったのですが。
⑨”「星空がきれい」という歌詞から始まる曲を作ってください”
完璧。3回やって3回とも星空がきれい~でした。
続きの歌詞も発音もかなり自然です。稀に判別不能な単語が出てきますが……
歌詞生成は得意なのかもしれません。
まとめ
音楽生成の適性
・BPM ★★★★★
・音楽ジャンル ★★★★★
・ボーカルの性別 ★★★★★
・歌詞 ★★★★★
・楽器の指定 ★★★★☆
・調性 ★★★☆☆
・曲の構成 ★★☆☆☆
・コード進行 ★☆☆☆☆
考察
BPMはなぜ再現できた?
時間間隔として扱えるから
BPMと紐づいた音の学習データを持っているか、あるいは計算して時間ごとに小節の頭の音を出力しているのだろうか?
コード進行はなぜ再現できなかった?
以下の仮説を立てた。
(1)そもそもⅠ⇒Ⅳ⇒Ⅴのコード進行を理解していない
(2)「Ⅰ・Ⅳ・Ⅴのコードを使って曲を作る」と解釈していた
Geminiに質問してみた。
プロンプト:
Ⅰ⇒Ⅳ⇒Ⅴのコード進行の曲と言われたとき、あなたはどう解釈しますか?
①Ⅰ⇒Ⅳ⇒Ⅴの順番でコードが進む曲
②Ⅰ、Ⅳ、Ⅴのコードを多用する曲
③Ⅰ、Ⅳ、Ⅴのコードを使う曲
④わからない
Geminiの回答:
結論から申し上げますと、基本的には「① Ⅰ⇒Ⅳ⇒Ⅴの順番でコードが進む(進行する)曲」として解釈します。
音楽理論の文脈において「〜のコード進行」という言葉は、特定の和音(コード)がどのような順序で現れるかという「流れ(プログレッション)」を指すことが一般的だからです。
ただし、音楽制作の現場や楽曲分析においては、以下のような柔軟な捉え方も含まれることがあります。
①が主軸: 基本的にはI→IV→Vのサイクル(あるいはその変形であるI-IV-V-Iなど)を骨格として構成します。
②や③の要素: 実際の楽曲では、I→IV→Vの進行を繰り返すだけでなく、その調性(キー)内にあるI、IV、Vを主軸として使いつつ、リズムやメロディに合わせて適宜バリエーションを加える(例:I-V-vi-IVなど)ことも一般的です。
もし「厳密にI→IV→Vの順番だけで構成してほしい」のか、「I、IV、Vのコードを主体にした曲を作ってほしい」のかといったご希望があれば、それに合わせて調整しますので、お気軽にお申し付けください。
……GeminiはⅠ⇒Ⅳ⇒Ⅴの順番でコードが進む(進行する)曲と解釈していた。
つまり私とプロンプトの解釈違いはなかった。
ちなみに曲を作ったときのGeminiのコメントから、Ⅰ⇒Ⅳ⇒Ⅴを楽曲の王道進行だと理解していたようなフシも見られた。
「仙台名物の牛タンです」って言いながらマ○ドのハンバーガー出してくる感じ。
カオス。
つまり仮説はどちらも破られた。
(1)そもそもⅠ⇒Ⅳ⇒Ⅴのコード進行を理解していない →理解していた
(2)「Ⅰ・Ⅳ・Ⅴのコードを使って曲を作る」と解釈していた →解釈違いもなかった
曲を作るアルゴリズムの問題?
曲構成(Aメロ、Bメロ、サビ)もなぜ再現できないのか?
これもGeminiの解釈を伺いました。
プロンプト:
Aメロ→Bメロ→サビの構成の曲を作ってくださいと指示されたとき、
あなたはAメロ、Bメロ、サビをそれぞれどんなものと解釈するか?
Geminiの回答:
曲作りにおいて「Aメロ・Bメロ・サビ」の構成は、聴き手の感情をドラマチックに動かすための「物語の構造」そのものだと解釈しています。
それぞれの役割を、役割(機能)と心理的効果の観点から以下のように定義しています。
1.Aメロ:導入と世界観の提示
物語が始まり、聴き手を曲の世界へ引き込むためのパートです。
役割: 状況説明、キャラクターの紹介、または「語り」に近い部分です。
音楽的な特徴:あえて楽器数を抑えたり、落ち着いた音域で歌い出したりすることが多いです。
聴き手に「これからどんな物語が始まるのか?」という興味を持たせるための情報の提示を行います。
心理的効果: 聴き手の耳を馴染ませ、曲の雰囲気(切ない、激しい、明るいなど)を決定づけます。
2.Bメロ:展開と高揚の助走
平坦になりがちなAメロからサビへと向かうための「架け橋」であり、感情のメーターを上げるためのパートです。
役割: 状況の変化、葛藤の描写、あるいはサビに向けて期待感を高めるための「溜め」です。
音楽的な特徴:
コード進行に変化をつけたり、リズムパターンを少し変えたりして「このままでは終わらない」という予感を作ります。
メロディを少しずつ高い音へ持っていったり、音符を細かくして焦燥感を演出することもあります。
心理的効果: 聴き手に「次になにかが起きる」という期待感(あるいは緊張感)を与え、サビへの渇望感を最高潮まで高めます。
3.サビ:解放と核心の提示
曲のメインディッシュであり、聴き手の感情が最も強く動くパートです。
役割: メッセージの核心、一番伝えたい感情の爆発、物語のハイライトです。
音楽的な特徴:
楽器数を増やし、一番広がりや厚みのある音にします。
最もキャッチーで覚えやすいメロディを配置し、誰もが一緒に歌えるような開放感を作ります。
心理的効果: 聴き手の感情を「解放」し、カタルシス(浄化)を感じさせます。曲の記憶として最も強く残る部分です。
この回答から、GeminiはAメロ・Bメロ・サビについて、極めて妥当な認識をしていると考えられます。
先ほどのコード進行しかり、Geminiの知識や解釈は正しいが、出力する曲がそれを満たしていないという現象が起こっている。
作曲アルゴリズムがブラックボックスなので、メカニズム的な部分にはまだ至ることができませんが、もう少し深掘りできるような検証をしたいです。
今回の検証では、GeminiはBPMやジャンル、歌詞といった要素は高い精度で再現できる一方、コード進行や曲構成などの指示はあまり得意ではないことが分かりました。
興味深かったのは、AIが「理解していない」のではなく、「理解しているのに再現できない」ように見えたことです。
今後は、
・複数の条件を同時に指定したらどうなるのか
・「朝」「雨」「街」のようなイメージワードはどのような音楽要素に対応しているのか
・BPMやジャンルを指定しなかった場合にどんな曲を作るのか
なども調べてみたいと思います。
もし検証してほしい内容があれば、コメントで教えてください。
ご意見、ご感想、その他コメントもお待ちしております。

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